ジュニアベジタブル&フルーツマイスターの資格をもつイタリアンシェフのベジタブルコース
JR神田駅北口より歩いて5分ほど。人通りが少なくなってくるころ、小道に入ると見つかる赤ちょうちん。それが本日ご紹介するお店の目印です。中に入ると古民家を改装したような木のぬくもりを感じる店内。至る所に動物の骨がオブジェとして飾られています。そう、こちらのお店はジビエをウリにしているワイン酒場。カウンター席の上にはメニュー用紙が所せましと貼られています。北海道、丹波山、長崎、鹿児島より、ヒグマ、月輪熊、穴熊、猪、蝦夷鹿、本州鹿、ハクビシン、野鳥類など、普段なかなか食べる事のできない動物を北イタリアベースの料理テクスチャーで提供しているおもしろいお店です。
そんなお店のこちらのシェフ、伊藤隆志さんは、実はジュニア・ベジタブル&フルーツマイスターの資格の持ち主で、おいしい野菜の料理もお手の物。今回こちらのサイト掲載の取材をするのに、「ベジタリアン特別コース」を作っていただけないかと交渉したら、快く引き受けていただきました。
― シェフ「すべてお野菜でしたら、4000円くらいのコースですね、デザートを入れて6皿くらいでしょうか。」
― 私「えっ、お野菜だけで6種類も!?」
― シェフ「大豆ミートのお通しから始めて、冷菜で野菜のパフェ、温菜で旬野菜のエチュペ、全粒粉のパスタ、旬野菜のグリーンソース、メインでいろんな野菜、テクスチャーを楽しんで・・・最後はデザートでアスパラのティラミスやフルーツにパンナコッタ野菜のソースなど、いろいろできますよ。乳製品や卵の使用、魚までOKでしたらさらにいろいろ作れますし、パスタやピザの種類も多くできそうですね。」
二人で話してても話がはずみます。料理のイメージをするシェフは楽しそう。シェフに食べてはいけない食材、食べられない食材など、詳しく説明すればするほど、理想的で、自分だけのオリジナルコースを作ることができます。ベジタリアン、ジビエ好き、ワイン好きの友人を集めて、見た目は同じものを食べてるようでも、実は一人一人の特別コース、なんて夢のようなコースも可能かも!?
イタリア北部で培ったジビエ料理
今回私が頂いたのは、お店一押しのジビエを使った、デザート含めて5皿のコース。前菜は盛り合わせでボリュームもばっちり。食用花もちりばめられて、見た目にも美しい一皿。

カラフルな前菜。種類の多さがイタリアンらしい
二皿目はラビオリ。春菊を練りこんでるため見た目が綺麗な緑色です。中の具材はなんと月の輪熊を赤ワインで煮込んだもの。さらにラビオリの中に包まれたチーズと、外側にはカリカリに焼かれたチーズのダブルチーズパンチ!濃厚なソースでお酒が進んでしまいます。付け合わせのたけのこにも、しっかり味が染み込んでいて、ラビオリのもっちりとした食感と、たけのこのシャキシャキとした食感のアクセントが良いですね。

春菊のラビオリがきれいな緑色
三皿目は鰆の低温焼き、ビーツとアンチョビのソース。真っ赤なビーツが黒のお皿によく栄えます!芸術的な一皿ですね。

上からの図が本当に芸術的
お魚も肉厚で火入れもばっちり。ビーツの優しい甘さがまたおいしいですね。鰆の下には細かく刻まれたブロッコリー。茎の部分までしっかり食べられるように細かく砕いてるのだとか。ブロッコリーは茎の部分がおいしいですよね、とまたシェフと盛り上がってしまいます。

鰆の肉厚さ・・・
メインのお肉はなんとトド。初めて食べました!シェフも初めて調理しましたと笑っています。その料理への知的好奇心が素晴らしい。トドは白ワインで煮込こまれていて、ナイフを入れると柔らかく崩れます。鉄分を感じる肉質はマグロとかカツオのような味。臭くもなくて食べやすく、おいしいです。

何の肉だと思います?
デザートはカベルネソーヴィニヨンのシャーベット、抹茶のマカロン、カルガモンと生姜のガナッシュ、ビワのコンポート。ミニパフェのような贅沢なデザート。マカロンなんかも手作りで作ってるところを考えると、シェフは本当に料理が好きなんだなぁと感心してしまいます。
1本1000円台のハイコスパワイン!
こちらのお店はワインを選ぶのも楽しみの一つ。1000円代からなので、気軽にボトルの購入ができます。イタリアはもちろん、フランス、スペイン、アメリカやチリまで、さまざまなワインがおいてあります。シェフと今日のメニューを考えながら、一緒にワインを選ぶのも楽しいですね。今回私が頂いたのは、普段グラスワインとして提供している白ワインですが、こちらもしっかりとしたワインで、十分においしかったです。