アレルギー特定原材料とは【表示義務も解説!】

アレルギーの原因「特定原材料」とは?

近年話題となっている食物アレルギー。身体が食品に含まれるタンパク質を異物として認識し、自分の身体を防御するために蕁麻疹や皮膚がかゆくなる、咳が出るなどの過剰な反応を起こすことを指します。
中でも「特定原材料」という言葉を聞いたことはありませんか?この「特定原材料」とは、食物アレルギーの症状を引き起こすことが明らかになったもののうち、特に症例数が多い、重篤化しやすく生命に関わるという観点から、原材料欄に表示する必要性が高いものとして、法令で表示が義務付けられている食品です。

特定原材料7品目

特定原材料とは、以下の7品目です。

  • 小麦
  • えび
  • かに
  • そば
  • 落花生
特定原材料7品目

卵、乳、小麦、えび、かにの5品目は「症例数が多いため」、そば、落花生の2品目は「症状が重篤化しやすく生命に関わるため」という理由でそれぞれ定められています。
中でも卵、乳、小麦は「三大アレルゲン」とも呼ばれ、食物アレルギーをもつ乳幼児のうち、0歳児では卵が約60%、乳が約20%、小麦が約7%という割合を占めています。卵に関しては徐々にその割合は減少していく傾向にあるものの、2・3歳児でも卵が約30%、乳が約20%、小麦が約8%というデータがあります。卵、乳、小麦が乳幼児期に症例数が多いのに対し、えび、かには小学生以上から徐々に症例数が増加しています。
そば、落花生に関しては前述したように、症例数の多さというより、強くアレルギー反応が出やすく重篤化しやすいという理由で定められており、空気中に飛散したそば粉を吸うだけで症状を呈するなど、ごく少量でも発症し、アレルゲンへの耐性を獲得しにくく、成長しても食べられるようになりにくいという特徴があります。
この7品目を覚えておくのはなかなか難しいかもしれません。覚え方として語呂合わせという方法があります。各々の頭文字から、「そ(そば)こ(小麦)か(かに)ら(落花生)に(乳)え(えび)た(卵)(底から煮えた)」などと覚えてみてください。

特定原材料に準ずるもの21品目

注目すべきは特定原材料だけではありません。原材料欄への表示を奨励されている「特定原材料に準ずるもの」に指定されている食品もあります。次の21品目が該当食品です。
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
これらの食品は、食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち、症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数見られるが、特定原材料に比べると少ないものとして、可能な限り表示することが推奨されたものです。
肉類から魚介類、豆類、果物、ナッツ類など、種類は多岐にわたることがお分かりいただけると思います。あくまでも表示を「奨励」するものであり、「義務」づけられているものではないということが特徴ですが、食物アレルギー体質を持つ方にとっては表示がない場合に起こり得る事態を考えると、非常に重要な情報であるといえます。2019年にアーモンドが新しく追加され、20品目から21品目に変更されています。
最近では「食物アレルギー特定原材料など27品目不使用」として、特定原材料と併せて特定原材料に準ずるものも含まない商品であるとイラスト付きで表示しているケースも増加してきているように感じます。今後はアーモンドを加えた「食物アレルギー特定原材料など28品目不使用」といった表示に変わってくると予想されます。このような表示があると、アレルゲンフリーと一目でわかり、消費者は安心して買い物ができますね。

2019年にはアーモンドが追加!

2019年9月19日に、消費者庁の「食品表示基準について」及び「食品表示基準Q&A」の一部が改訂され、これまで20品目であった、特定原材料に準ずるものに「アーモンド」が追加され21品目となりました。アーモンドのように、特定原材料や特定原材料に準ずるものに追加される事例もあるのです。過去に行われた追加事例について以下にまとめます。

  • 平成16年 特定原材料に準ずるものに「バナナ」を追加
  • 平成20年 特定原材料に「えび」、「かに」を追加
  • 平成25年 特定原材料に準ずるものに「カシューナッツ」、「ごま」を追加

3年に1度、消費者庁が発表する「食物アレルギー全国実態調査結果」から上記のように追加されることもあります。最新の情報について、消費者庁のホームページ等で確認してみましょう。ちなみに、かつては厚生労働省が担っていましたが、平成21年に消費者庁へと移管・引き継ぎがなされました。

特定原材料の表示義務

ここで、特定原材料について再度テーマを戻します。前述のように、「食物アレルギーの症状を引き起こすことが明らかになったもののうち、特に症例数が多い、重篤化しやすく生命に関わるという観点から、原材料欄に表示する必要性が高いものとして、法令で表示が義務付けられている食品」であり、特定原材料に準ずるものが表示の「奨励」であるのに対して、特定原材料は表示を「義務」づけられていますので、これら含む加工食品については必ず表示しなければなりません。
しかし、店頭販売されている食品や惣菜などの場合、この表示がない場合もあります。この場合には販売者にアレルゲンが含まれていないかの確認をするよう注意しましょう。
レストランなどの飲食店にも表示の義務はありませんが、最近ではメニュー表にアレルゲンについての記載がある例も増加してきています。記載がない場合には確認するのがよいでしょう。

アレルギー表示の順番が決まってるの?

アレルゲンの表示について、表示される順番に決まりはあるのでしょうか。結論からお話しすると順番はありません。ただ、原材料の表示には順番があり、その製品に使用されている量が多い順に表示されていますので、アレルゲンもその順番に沿って表示されています。例えば、小麦粉とマヨネーズを使用した製品で、小麦粉の方がマヨネーズより使用量が多い場合、「小麦粉、マヨネーズ(卵を含む)」となります。
アレルゲンについて注意書きや書き方には規定があります。アレルゲンは原材料名の直後に括弧を付して表示するというものです。上記のようにマヨネーズであれば「マヨネーズ(卵を含む)」、チョコレートであれば「チョコレート(乳成分を含む)」となります。特定原材料のうち乳については「乳成分を含む」と表示することとされています。特定原材料などを2つ以上含んでいる場合には、「ショートニング(牛肉・大豆を含む)」のように「・」でつないで表示されます。食品添加物が特定原材料などに由来するものの場合も基本は同じで、「グルテン(小麦由来)」のように「○○由来」という表示なります。表示面積に限りがあり、個々の表示が困難な場合は、原材料名の最後に「(一部に乳成分・小麦・大豆を含む)」といったように一括表示することも認められています。

まとめ

症例数や重篤な症状を呈するかといった観点から、原材料欄に表示する義務がある「特定原材料」として7品目、表示を奨励する「特定原材料に準ずるもの」として21品目が定められています。消費者庁が発表する「食物アレルギー全国実態調査結果」により、品目が追加されることもありますので、最新の情報をチェックしておくことが大切です。加工食品以外の、表示がない製品については、販売者への確認をする必要がありますのでご注意ください。アレルゲンの表示の順番には決まりはありませんが、表示方法には一定の規定があります。商品を選ぶ際に知っておくと役立ちますので、参考にしてみてくださいね。

プロフィール

松田 千波(Chinami Matsuda)管理栄養士ブロガー兼ライター
管理栄養士として委託会社での病院勤務、障がい者施設経験を持つ。心理学、がんの栄養学、栄養士の働き方についてSNSとブログで発信中。

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