醤油は?味噌は?ハラールで気をつけたい調味料とその代替品を紹介!

豚肉とアルコールは絶対ダメ!

イスラム教では生活全般に戒律があり、食べ物に関しても食べていいものと、食べてはいけないものが厳しく定められれています。イスラム教で食べていいものをハラルフードといいます。では何がハラム(禁じられている)なのでしょうか?イスラム教徒はアルコールや豚肉を食することが禁止されています。イスラム教では豚が不浄なものとされているので、体に入れてはいけないのです。アルコールは飲むだけではなく、調味料として使用されるので注意が必要です。また、しょうゆなどの調味料にもアルコールが使用されていることがあるのでご注意ください。

ハラールで特に気をつけたい調味料7つ

ではイスラム教徒が気を付けなければいけないのはどんな調味料でしょうか。ここでは特に気を遣わなけれなばいけない調味料を7つ紹介いたします。ムスリムに料理を提供するときにはこの記事を読んで、注意して料理をしてください。

「酒」は絶対NG

イスラム教徒ではアルコールは全面的に禁じられています。消毒などに使用するアルコールも禁止です。厳密にいえば、発酵過程でアルコールが自然発生する醤油やみりんも禁じられています。コーランには酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業であるという記述があります。また、アルコールを飲む人は天国にはいけないとされています。アルコールは思考力を低下させたり、怒りっぽくなったりします。また、お祈りを忘れたりしてしまいます。日本酒やワインが含まれている料理も食べてはいけません。バニラエッセンスが使用されている料理も食べれません。なおキッコーマンなどの日本のメーカーからはアルコール抜きの醤油が発売されています。

酒の代替品となるものは?

エミレーツ航空はムスリム向けのハラル機内食を提供しています。日本路線では当然和食も提供されますが、アルコールはもちろん使用できません。ワインの代わりにぶどうジュースを使用したりするそうですが、残念ながら似たような味は出せますが、まったく同じ味にはならないそう。現在のところ完全な代替品は無いとのことです。アルコールには肉の臭みを消したり、柔らかくする効果があるので、アルコールが使用できないハラル職はかなり苦労するそうです。

定番「醤油」にも注意が必要

発酵過程でアルコールが自然産生される醤油やみりんは基本的にはイスラム教ではNGですが、一定量の濃度が規定値以下ならOKという考えのムスリムもいるようです。ただし一般の日本製の醤油は腐るのを防いだり、カビを防いだり、香りをつけるために製造過程でアルコールを使用していることがほとんどなのでご注意ください。ただし、最近キッコーマンからハラール醤油が発売されています。ハラール醤油は製造過程でアルコールを一切使用していません。気になる肝心の味や香りはキッコーマンの高い技術によって普通の醤油とほぼ変わらない出来だそうです。ハラール醤油自体は今までもあったのですが、大手のキッコーマンが発売したのが大きいですね。

醤油の代替品となるものは?

醤油の原材料は大豆、小麦、塩ですが、保存料としてアルコールが添加されることがあります。また、発酵過程で自然産出されます。ですからムスリムの方には原材料表示にアルコールの記載がない、アルコール無添加の醤油を選びましょう。スーパーでも普通に販売されています。さらに醤油の発酵過程で発生する微量のアルコール成分も厳しく制限した、ハラール認証取得済みの醤油も販売されています。この製品を使用すれば安心でしょう。

「みりん」は使えないことも…

みりんは日本料理における基本的調味料ですが、焼酎などをベースに作られる発酵食品のため、一切使用できません。例えばムスリム向けの料理ではそばのめんつゆにもみりんは使用しないそうです。ただし、調理している間に蒸発してしまうのでみりんについては食べていいのか悪いのか、宗派や個人によって判断が分かれるようです。ただ基本的にはアルコールが0.1%でも入っていたら食べることはできないようです。ムスリム向けのアルコール不使用のみりん風調味料も市販されているので探してみてください。保存料のアルコール無添加でも冷蔵庫に保管しておけば、長期間保存できるようです。また、味にも大差はないようです。ですから一般のお客様にも使用できます。

みりんの代替品となるものは?

みりんはアルコールが含まれているのでムスリムは食べることはできません。代用品としては氷砂糖を溶かして、煮詰めた蜜などを用意しておけば、みりんの代わりに甘み付けができます。さらに黒砂糖を使用すればコクが出ますし、甜菜糖でも代用出来ます。また、アルコールを使用していない、みりん風調味料も市販されています。アルコール無添加ですが、味に大差はありません。ですから一般の方でも使用出ます。保存料が含まれていないので、冷蔵庫に保管してください。

「酢」にも注意が必要

酢を使用するときには原材料表示にアルコールが記載されていないアルコール無添加の酢をご使用ください。ただし酢は醤油や味噌と同じく発酵調味料のため、表示がなくても微量のアルコールが含まれています。またポン酢の原材料に醸造酢と書かれている場合、その酢にアルコールが含まれている場合があるので使用しない方が良いです。わからない場合はハラール認証のお酢をご使用ください。お酢が含まれているため、お寿司がNGのムスリムの方も多いようです。もちろん気にされない方も多いようです。なお、ドレッシングやマヨネーズ、ソースなどにも原材料としてアルコールが含まれている醸造酢が使用されている場合があるので注意してください。

酢の代替品となるものは?

酢の代用品として、レモン汁があります。レモン汁はレモンを搾った果汁です。柑橘系の爽やかな風味が出ます。香りと風味を再現できますが、酢飯には合いません。ポッカレモンなどのレモン果汁は搾り済みなので、そのまま代用品として使用できます。ただレモン汁よりも酸味が強いので入れすぎには注意しましょう。ただし、レモン果汁は酢のものには合いません。代用品を使う時は味や匂いを考慮し、風味が壊れないものを使用しましょう。

「味噌」にもお酒が入ってるかも…

味噌は醤油と並び、日本料理に欠かせない調味料の一つです。原材料は大豆、コメ、塩ですが、保存料として酒精が後から使用されることがあります。ですからムスリムの方には原材料表示にアルコールや酒精の記載がない無添加の商品を選びましょう。アルコール無添加の味噌はスーパーに普通に売っているので、原材料表示を確認しましょう。ただ、無添加の味噌を使用すると味が薄くなるので、きちんとだしをとる必要があります。だしは日本料理の基本ですので、だしから出る旨味が美味しさの基本です。ただし、だし入りみそのように食品添加物が含まれている味噌は添加物の中身が確認できないので避けましょう。化学調味料が含まれている場合もあります。

味噌の代替品となるものは?

それでは味噌の代用品としてはどのような製品が考えられるでしょうか。代用品はいくつかあるのですが、どれもアルコールやしょうゆ、みりんなどが含まれているのでムスリムには御法度です。ですから味噌の完全な代用品はないといっていいでしょう。前述のようにアルコール不使用のハラール味噌を使用するしかないでしょう。また、アルコール不使用の味噌は普通のスーパーでも売っているので原材料表示を確認してみましょう。添加物不使用の味噌は健康志向の方にもおすすめです。

マヨネーズやケチャップなどのソース類は?

ケチャップに関しては原材料表示に醸造酢と書かれている場合は醸造酢にアルコールが含まれている場合があるのでご注意ください。確認できない場合は避けた方が無難です。マヨネーズも原材料に醸造酢が含まれている場合があるのでご注意ください。マヨネーズはキューピーマがレーシアから逆輸入しているハラール認証マヨネーズがあるのでそちらを使用してください。スーパーでケチャップやマヨネーズを購入するときは原材料表示を確認してください。そして原材料表示に醸造酒と書かれていない商品を購入してください。無添加のケチャップやマヨネーズは健康志向の方にもおすすめです。味は添加物入りとそれほど変わらないので安心してご購入下さい。

マヨネーズやケチャップの代替品となるものは?

ケチャップの代替品はトマトジュース(70㏄)、ハーブソルト(小さじ1/2)、コーンスターチ(大さじ1)を小鍋に入れて火にかける。沸騰したら弱火にしてとろみが付いたら火を止めて、酢を加えて混ぜる。酸味が苦手な方は、お好みで砂糖を加える。トマトジュースが無い場合は、ウスターソース(70㏄)に砂糖(大さじ3)を加えて混ぜたものでも代用できます。。ウスターソース、酢も無添加のものを使用してください。マヨネーズは卵を使用しないと代替品を作るのは難しいです。

砂糖の判断は難しいところ

砂糖は一見すると大丈夫のように思えます。しかし、白砂糖のような精製糖は製造過程で使用されるグリセリン脂肪酸エステル(消泡剤)という成分が豚由来である場合があります。しかし、通常販売している砂糖にグリセリン脂肪酸エステルが含まれているかどうかはわかりません。どうしても気になる方はメーカーに直接お問い合わせください。しかし、白砂糖がアウトということになれば、日本で発売されている、加工食品はほぼすべてがアウトということになります。また、砂糖はOKというムスリムの方もいっらしゃるので、砂糖のハラール性をどこまで突き詰めるのかはご自身の判断でお願いいたします。また、グリセリン脂肪酸エステルが豚由来ではないパターンも考えられます。

砂糖の代替品となるものは?

砂糖の代替品としては、より自然に近く、ミネラルも豊富に含む、サトウダイコン由来の甜菜糖、サトウキビ由来のキビ糖がお勧めです。これらの商品はスーパーなどで購入できます。また、甜菜糖は体を温め、キビ糖は体を冷やす効果があります。より安全性を高めたければ、ハラール認証されている砂糖を購入しましょう。甜菜糖、キビ糖はハラール認証は受けていません。しかし、アルコールは含まれておりませんので安心してご使用ください。

HALAL認証の調味料であれば安心!

今まで何回かハラール認証という言葉を用いてきました。ハラール認証とは専門家がこの商品はムスリムでも食べられるというお墨付きを与えた商品のことです。専門家が認めたのですから、安心して食べることができますね。ハラール認証を受けている調味料は沢山あるので心配な方はそちらを利用してください。最近では大手メーカーもハラール認証を受けている商品を発売しています。ハラール認証の製品の認知度がもっと広まっていくことこそ真の国際理解につながるのではないでしょうか。また、ハラール認証を受けている商品は健康にも良いので、一般の方にもおすすめです。

プロフィール

松田 千波(Chinami Matsuda)管理栄養士ブロガー兼ライター
管理栄養士として委託会社での病院勤務、障がい者施設経験を持つ。心理学、がんの栄養学、栄養士の働き方についてSNSとブログで発信中。

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