それアレルギー症状かも?赤ちゃんのアレルギー種類や対応方法を徹底解説!

こんな症状が出たら食物アレルギーかも

赤ちゃんに起こりがちな食物アレルギーの症状としては、口の周りなど顔に現れることが多く、赤くなったり、蕁麻疹が見られたりというものがあります。汁物で口の周りが荒れる赤ちゃんもいますので、アレルギー症状と見分けがつきにくいかもしれません。顔だけでなく、お腹など全身に蕁麻疹が見られることもあります。他に、呼吸が苦しくなる、腹痛や下痢、嘔吐を起こすといった症状が見られることもあります。現れる症状には個人差があり、1種類とも限りません。例えば発疹と呼吸困難を併発するという場合もあります。呼吸器喘息やアトピー性皮膚炎などに罹患している赤ちゃんは、食物アレルギーの症状に気付くのが遅れる可能性もありますので注意してください。

アレルギーの種類と発症までの時間

食物アレルギーには原因食品を食べて「即時型」、「遅発型」、「遅延型」の3種類があります。赤ちゃんによって発症までの時間も異なりますので、「食物アレルギーではないと思うけど…」と自己判断してしまうのは危険です。それぞれの型について、順にご説明します。

即時型食物アレルギー(2時間以内)

即時型食物アレルギーとは、典型的な食物アレルギーであり、赤ちゃんに最も多くみられる型といえます。原因食品を食べて2時間以内に症状が現れるものを指します。症状としては、蕁麻疹などの皮膚症状、嘔吐、下痢を起こす消化器症状、呼吸困難を起こす呼吸器症状、目や口、鼻にかゆみが出る粘膜症状といったものが挙げられます。重篤な場合、これらの症状が全身に現れる「アナフィラキシーショック」に陥ることもあります。

遅発型食物アレルギー(6~8時間以内)

遅発型食物アレルギーとは、原因食品を食べて6~8時間以内に症状が現れるものを指します。症状としては、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛や下痢などの消化器症状、粘膜症状といったものが挙げられます。症状だけを聞くと即時型と大差がないように感じられますが、遅発型の場合、即時型の症状より程度は低いことがほとんどです。「なんとなく体調が悪い」と感じることで発覚するといったケースがあります。大人でも遅発型食物アレルギーを発症する方がいます。

遅延型食物アレルギー(1~2日後)

遅延型食物アレルギーとは、原因食品を食べて1~2日後に症状が現れるものを指します。症状としては遅発型と特に変わりはありません。しかし、原因食品を食べてから1~2日経過していると、体調が悪くても風邪かと考えがちで、症状が食物アレルギーによるものであると結びつきにくく、3つの型のうち最も診断が遅れる型と言えます。遅発型食物アレルギーと同様に、こちらも大人でも発症する可能性があります。

赤ちゃんに多い食物アレルギーは?

赤ちゃんに多い食物アレルギーの原因となる食材としては、まず「卵・牛乳・小麦」が挙げられます。これらは「三大アレルゲン」に指定されています。0~3歳児ではいずれの年齢でも卵、乳、小麦の順に患者数が多いことがわかっています。食物アレルギーをもつ赤ちゃんのうち、原因食材の内訳は0歳児で卵が約60%、牛乳が約20%、小麦が約7%と卵が半数以上を占めています。1歳児では卵が約45%、牛乳が約16%、小麦が約7%で、2・3歳児では卵が約30%、牛乳が約20%、小麦が約8%という割合です。
卵、牛乳、小麦の他に、えび、かに、落花生、そばを合わせた7品目が、症例数が多く重症化しやすいものとして「特定原材料」に指定されています。しかし、赤ちゃんが口にするどの食品にも、食物アレルギーを発症する可能性はあります。例えば、一見リスクのなさそうなトマトなどの野菜にも、食物アレルギー反応を示す赤ちゃんもいます。
そういったこともありますので、三大アレルゲンだけに注意をすればよいというわけでも、特定原材料だけに注意すればよいというわけでもありません。

離乳食の時期には要注意!

赤ちゃんに食物アレルギーが発覚する時期としては、特に離乳食を開始してからと言えます。食物アレルギーを発症するリスクを少しでも抑える食べさせ方にはポイントがあります。また、食物アレルギーをもつ家族がいたり、既に赤ちゃん自身がアトピー性皮膚炎に罹患したりしている場合は、食物アレルギーをもつ可能性を疑い、対策を講じることも必要かと思います。これらの食物アレルギー発症リスクを抑えるための予防や対策については後程解説します。

食物アレルギーかも…と思ったらすぐに検査を!

離乳食を進めていく上で、「これは食物アレルギーかもしれない」と少しでも可能性が疑われる症状が見られた場合、速やかに病院での検査を受けることをお勧めします。蕁麻疹など目に見える症状が見られた場合、その箇所を写真に撮って受診すると、医師に状況を的確に説明することができます。赤ちゃんにおける食物アレルギーの症状は、前述したように「即時型」が最も多く、症状が見られても数分~数十分でおさまることも多くあります。それでも、「すぐに回復したから大丈夫」と勝手に判断したり、食物アレルギーの診断をされていないのに、原因食品と思われる食品を除去する「除去食」にしたりすることは避けてください。

食物アレルギーは治るの?

食物アレルギーが発覚すると、「治るものなの?」と心配になってしまいますが、乳児期・幼児早期に発症した即時型食物アレルギーは、医師の指導を守り徐々に進めていけば3歳ごろまでに約5割、就学する頃までには8~9割が治ると言われています。食物アレルギーかどうかについてと同様で、治ったかどうかについても自己判断はできません。食物アレルギーの治療に当たっては、実際に原因食品を少量食べてどれほどの症状をきたすかを確認する「食物経口負荷試験」という方法を用います。離乳食が進みある程度の量を食べられるようになった1歳頃から、この試験を定期的に受け、食べられる量を増やしていくことを目指します。

食物アレルギーの予防と対策

ここで、前述した食物アレルギーの発症リスクを抑えるための予防や対策についてご紹介します。離乳食を進めていく中で、食物アレルギーについて考えると不安に感じる方も多いでしょう。これからご紹介することが、少しでもその不安の解消に繋がればと思います。

病院が空いている日中に食べさせる

まずは、離乳食を食べさせる時間についてです。万が一食物アレルギーの症状が見られた場合、すぐに受診ができるように病院が空いている日中に食べさせるのがよいでしょう。初期食であれば1回食ですので、朝の授乳をして次の授乳の時間に離乳食を食べさせるという方法がおすすめです。具体的には、授乳の間隔が4時間の場合、朝の6時半に授乳をしたら次の授乳の時間である10時半に離乳食を食べさせる、ということになります。中期食に移行し2回食になり、授乳の間隔が長くなっても考え方は同じです。実際には赤ちゃんの様子や機嫌により多少時間が前後することもあるかと思いますが、「万が一に備えて病院ですぐ診てもらえる時間に食べさせる」ということを覚えておきましょう。

初めて食べるものは1種類に限定

次に、食べさせる食品の種類についてです。食物アレルギーの症状が見られた場合、迅速に原因食品を明らかにするために、「初めて食べさせる食品は1種類にする」ということをおすすめします。一度に複数、初めて食べさせる食品を試して食物アレルギーの症状が見られると、どの食品が原因食材なのかの判断が難しくなってしまいます。確かに離乳食の時期はたくさんの食品に出逢い、味を覚えていく大切な時期ですが、焦って一気に食べさせるのではなく、積み重ねを大切にしていきましょう。離乳食を開始しおかゆをクリアしたら、次はおかゆの上に野菜のペーストを1種類のせてみる、それもクリアしたら別の野菜も試してみる、といった具合で、焦らずゆったりと進めていきましょう。

少量ずつ食べさせる

続いて、食べさせる量についてです。全体的に食べ過ぎないように注意したい、ということも言えますが、食物アレルギーの発症リスクを抑えるという観点からお話しする「少量ずつ」というのは「一さじずつ」を指しています。「一さじ」という少量ずつを食べさせることで、もし食物アレルギーがあっても症状を軽くするというねらいがあります。食物アレルギーがあると分からずに初めての食品もたくさん食べさせてしまうと、体の様々な機能が未発達な赤ちゃんの体はそれだけ反応しますので、重症化してしまいます。初めて食べせる食品については、スプーン一さじだけ食べさせて様子を見ましょう。特に食物アレルギーを引き起こしやすいたんぱく質を多く含む食品には注意が必要です。卵や乳製品はもちろん、豆腐や納豆、肉・魚類も一さじからのスタートにします。

除去食のやめ方

食物アレルギーと診断され、原因食品を除去した食事である「除去食」で対応している場合、除去食はどのようにやめたらよいのでしょうか。前述したように、食物アレルギーは徐々に治っていくものですので、除去食についてもずっと続くわけではありません。
次項から、除去食のやめ方についてご紹介します。

基本的にはお医者さんと相談しながら

除去食のやめ方は、医師の診断と指導に従いましょう。「もう長く除去食を続けてきたし、赤ちゃんも大きくなってきたから大丈夫だろう」という自己判断は不確実で、逆に食物アレルギーを悪化させてしまう結果になりかねません。本当に治っているかどうかは医師が診断するものです。1歳未満の赤ちゃんでは、血液検査や食物経口負荷試験は実施できず、原因食品を完全に除去した食事で対応することがほとんどです。定期検診を重ねて、医師と治療方針をよく相談しながら進め、指示があってからやめるようにしましょう。

病院が空いている時間に少しずつ、徐々にが基本

除去食についても、初めて食べさせる食品を試すときと同じように、病院が空いている時間に少しずつ食べさせるのが基本です。原因食品を除去しているとはいえ、誤って口にしてしまったり、医師からの指導を守った量を食べさせていても赤ちゃんの体調により症状が出たりする可能性もあるからです。保育園に通わせている場合、朝に除去食を食べさせて登園させるのは不安かもしれません。しかし、医師からは毎日続けるように指導がある場合もあります。帰宅は夕方や夜になってしまい病院が空いていないので朝食べさせる必要があるならば、その旨を保育園にも伝え、現段階での除去食の進み具合、実際に食べた時間や献立を連絡帳に記載し、症状が見られた場合の連絡ルートなどを確実に打合せしておくようにしましょう。

まとめ

食物アレルギーには3種類あり、赤ちゃんの場合「即時型」が最も多いと言われています。原因食品としては「三大アレルゲン」、「特定原材料」といった特に注意が必要なものがありますが、その他の食品にも可能性はありますので、初めて食べさせる際には日中に、1種類ずつ一さじから食べさせましょう。赤ちゃんのときに発覚した食物アレルギーは多くが就学前に治っていくものですので、焦らず決して自己判断せず医師の診断と指導に従って回復を目指しましょう。食事は毎日のことで、除去食となると気を遣うことと思います。食物アレルギー対応の商品も販売されていますので上手く利用していただきたいと思います。
医師だけではなく、保健センターなどの地域の窓口、家族や保育園にも相談して協力してもらいましょう。

プロフィール

松田 千波(Chinami Matsuda)管理栄養士ブロガー兼ライター
管理栄養士として委託会社での病院勤務、障がい者施設経験を持つ。心理学、がんの栄養学、栄養士の働き方についてSNSとブログで発信中。

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