ピーナッツアレルギーは治る!?

ピーナッツアレルギーとは?

ピーナッツアレルギーというのをご存じですか?日本ではアレルギーを起こしやすい特定原材料7種の1つとして、落花生(落花生が木や殻も含む植物の総称を指し、ピーナッツはこの植物の実の部分を指します)が指定されています。非常にアレルギーの報告件数が多く、人によってはごく少量でも症状が出てしまう食品です。この記事では、そのピーナッツが引き起こすアレルギーについて詳しく紹介していきます。

食物アレルギーの一種

ピーナッツアレルギーは、食物アレルギーの一種です。日本で言う、卵・乳・小麦の三大アレルゲンが米国にもあるのですが、米国での三大アレルゲンは、鶏卵、牛乳、そしてピーナッツとされています。そばアレルギーと同じく、少量でアナフィラキシーショックを起こしやすいアレルゲンです。高温調理をするとアレルゲンが強まるため、ローストピーナッツをよく食べる米国で三大アレルゲンとして指定されるのも頷けます。ピーナッツアレルギーの人は、ピーナッツを除去する食生活をしなければなりませんが、必ずしも他のナッツ類を除去しなければならないわけではないので、検査の上、生活の中で仕分けをしていく必要があります。

ピーナッツアレルギーは治る?治し方は?

このピーナッツアレルギー、一度なってしまうともう一生ピーナッツを含む食事をすることができなくなるのでしょうか?少量でアナフィラキシーショックを起こすならば、ちょっと辛いのを我慢して食べちゃおうなんてとてもじゃありませんが考えられません。治るならば治したいですよね。ここでは、ピーナッツアレルギーは治るのか、治療方法にはどんなものがあるのかを説明します。

自然に治るケースは1-2割

乳幼児期にアレルギー症状を発生させている場合、成長と共に免疫力が付き、自然治癒する場合があります。卵・乳・小麦などの三大アレルゲンは小学校の就学までに7-8割が改善されたと報告されており、比較的治りやすい症状です。しかし、ピーナッツアレルギーに関しては、全体の1-2割程度しか自然治癒しないとされています。また、重症化しやすい子どもは、中等度の症状が発生する子どもよりも、治る可能性も低くなります。自然にしていては中々治りにくい症状なのです。

ピーナッツアレルギーは食べて治す?

自然治癒しないのであれば、医師の管理下の下、適切な治療が必要になります。まだ臨床実験も始まったばかりで、確立した治療法とは言い難いのですが、最近注目され始めているのは、食べて治す方法です。口から入り腸で吸収される食べ物にはアレルギーなどの免疫反応が起きにくいとされる人体の仕組みを利用します。ワクチンのように徐々に体の中の免疫力を高めるよう訓練していきます。実際ピーナッツアレルギーで嘔吐などの症状が出ていた中学生は、入院して経口摂取をすることでピーナッツアレルギーを克服しました。外食を怖がっていたが、今では外食も好きになり、性格も明るくなったんだそうです。ただもちろんこれは、医師の管理下でなければアナフィラキシーショックを起こしたりと様々なリスクを伴う方法なので、個人では絶対にやってはいけません。

ピーナッツアレルギーの新たな治療法

単純に経口摂取することで免疫力を高める方法ではなく、新たな治療法も探られています。それは、“ラクトバチルス・ラムノサス”という乳酸菌を、アレルゲンと一緒に摂取する方法です。ラクトバチルス・ラムノサスはアレルギー反応の抑制をすることが見込まれており、18カ月この乳酸菌とピーナッツを摂取し続けた子どもは、その80%が摂取しなくなっても1カ月間ピーナッツへの耐性を維持し、4年後再び行った検査でも70%が耐性を維持していました。ただし、この方法も現在まだ確立されているわけではなく、海外で行われている研究のため、日本で実用化されるのにはまだ時間がかかるかもしれません。

まとめ

ピーナッツアレルギーの治療法について説明してきました。症状が重症化しやすく、治すにもリスクを伴うピーナッツアレルギーについて、悩んでいる方も多いでしょう。ピーナッツが入っているのではと不安で外食・外泊、果ては外出を楽しむことが出来ないのは、とても悲しいことですし、人から笑顔を奪ってしまいます。早く、皆が笑顔になれる治療法が確立されることを切に願います。

プロフィール

山﨑 麻未(Asami Yamasaki)管理栄養士
病院管理栄養士を7年間経験後、妊娠を機に退職。現在はオンラインの特定保健指導やレシピ作成を中心に業務を行っている。子供ができてからは、食の安全性や機能性をより考えるようになり「1食1食丁寧に」を心がけている。

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