【成人女性の食事】1日の適切なご飯量は何グラム?ダイエットの前に

ひとりひとりで適切な量は異なる!

今回のテーマは「成人女性のご飯量」です。適切な食事量はみんな一緒だと思っていませんか?実は、ひとりひとりで異なるのです。それはなぜでしょうか。同じ成人女性でも、生活スタイルは人それぞれです。デスクワークの方、立ち仕事の方、主婦として家事を中心とした生活の方、スポーツ選手など、体を動かす度合いが異なります。これを「活動強度」と呼びます。また、性別や身長、年齢によっても左右されます。

次項から、1日の摂取カロリーの目安やご飯とおかずについて、詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

成人女性の1日の摂取カロリーの目安

そもそも成人女性の摂取カロリーの目安はどれくらいなのでしょうか。「座位中心の仕事だが職場内での移動や立位での作業・接客など、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツをする方」の場合、年齢により多少の違いはあるものの、約1800~2200kcalが目安となります。「生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の方」の場合は約1600~1800kcal、「移動や立位の多い仕事、スポーツなど活発な運動習慣をもつ方」の場合は約2100~2500kcalが目安です。
日本人の食事の主食であるご飯(お米)にはどのくらいのカロリーがあるのかチェックしてみましょう。お米1合を150gとして計算すると、約530kcalとなります。8枚切りの食パン約5枚分に相当します。適切なご飯の量はこのあと詳しく解説します。

ご飯とおかずは1:1が理想的!?

因みに、ご飯とおかずは1:1が良いとされていますが、これは本当なのでしょうか?1食の食事を、三大栄養素であるタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbonhydrates)の割合で評価する「PFC比」から評価する方法で解説をします。このPFC比は1食の食事のカロリーに対するタンパク質、脂質、炭水化物の割合を示しています。理想的な割合は、「P:F:C=15;25:60」が良いとされており、このことから考えると1食の食事のカロリーのうち60%を炭水化物から摂取するのが好ましいということになります。例えば、1食600kcalの食事であればその60%、つまり360kcalを炭水化物により摂取するということです。炭水化物はご飯のみに含まれているわけではなく、おかずの材料や調味料由来の炭水化物もありますので、おおまかな目安として1食のカロリーの50%をご飯から摂取すると考えれば、「ご飯とおかずは1:1が良い」というのは正しいことになります。
先程例に出した「1食600kcalの食事」であれば、50%の300kcal分のご飯、ということになり、これをご飯の量に換算すると約180gになります。1日の摂取カロリーを1800kcalとしたい場合、1食600kcalを摂取する計算になりますので、1日に食べるご飯の量は約540gとなります。これは何合にあたるのでしょう。お米1合150gを炊飯すると約320gのご飯になりますので、540gのご飯は約1.7合分となります。

ご飯の栄養素としての役割

では、ご飯の栄養素としての役割とはどういったものかを考えていきます。ご飯に含まれる主な栄養素としては「炭水化物」が挙げられます。炭水化物は体を動かすエネルギー源として重要な役割を担っています。特にご飯(お米)に含まれる炭水化物の一つである「でんぷん」は、体内に取り込まれるとブドウ糖に分解され、このブドウ糖は脳を動かすエネルギー源として唯一の栄養素になります。タンパク質や脂質もエネルギー源になりますが、最も体への負担を少なくエネルギーを産み出せるのが炭水化物です。また、摂取した栄養素の代謝を助けたり、時にはエネルギー源にもなったりする「アミノ酸」のうち、食事からしか摂取できない「必須アミノ酸」もバランス良く含まれています。

成人女性の適切なご飯量一覧

ここで、成人女性の適切なご飯量についてまとめておきます。今回は18~29歳の女性で座り仕事の場合と立ち仕事の場合に注目してお話しします。
まず、18~29歳の女性で座り仕事の場合についてです。成人女性の平均身長である155~160cmを見てみると、155cmでは130g、160cmでは140gとなっています。145cm~195cmまで5㎝刻みで、おおよそ10~20gずつ適切なご飯量は増えていきます。成人男性、18~29歳の場合の適切なご飯量と比較してみると、座り仕事で身長170cmでは180gとなっており、女性より40~50g増えていることが分かります。
続いて18~29歳の女性で立ち仕事の場合についてです。こちらも155~160cmを見てみます。155cmでは160g、160cmでは180gとなっています。座り仕事の場合と同じく、145cm~195cmまで5㎝刻みで、おおよそ10~20gずつ適切なご飯量は増えていきます。成人男性、18~29歳の場合の適切なご飯量と比較してみると、立ち仕事で身長170cmでは220gとなっており、女性より40~60g増えていることが分かります。
子供や高齢者では成人女性に比べて摂取カロリーの目安は減り、病院食の場合は疾病や治療の方針により摂取カロリーが設定されますので、ご飯量も変動があります。

おにぎりや茶碗1杯のご飯は何グラム?

実際に食事をする際、栄養素のバランスが良い食事を心がけるには、自炊の場合も外食の場合も何か目安があるとイメージしやすくなるかと思います。そこで、おにぎりや茶碗1杯分のご飯がどのくらいの量なのかを知っておくと便利です。次からおにぎりの場合、茶碗1杯の場合、お店の丼やカレーなどの場合に分けてご紹介していきます。

おにぎりの場合

まずはおにぎりの場合です。コンビニで販売されているおにぎりのご飯の量は、約100gであることが多いです。お米1合150gを炊飯すると約320gのご飯になることから考えると、コンビニのおにぎりが3個作れる計算になります。ご飯100gのカロリーは168kcalです。600kcalの食事であればその50%の300kcal分のご飯を食べるとして、2個弱食べられる計算になりますね。おにぎりの具により誤差が生じることもあるかと思いますが、おおよその目安として参考にしてください。

茶碗1杯の場合

茶碗1杯の場合はどうでしょうか。軽く1杯盛ると約150g、大盛りにすると約200~250gになります。お米1合分のご飯は約320gですので、茶碗2杯分がとれることになります。ご飯150gのカロリーは252kcal、200gでは336kcal、250gでは450kcalです。前項と同じように300kcal分のご飯を食べるとすると、150~200gにするとよいですね。自宅で食事をする際には、一度いつも通り茶碗にご飯を盛り、何gか量ってみるのもおすすめです。日頃どれだけご飯を食べているのかのイメージがはっきりとするので、外食時のメニュー選択にも役立ちます。

お店の丼やカレーなどの場合

続いては外食の場合に着目し、丼やカレーのご飯の量について確認していきましょう。お店や料理によりご飯の量が異なることを前提として、一般的にはどれくらいの量なのかをご紹介します。丼やカレーは、約200~250g程度であることが多いようです。茶碗に大盛りのご飯に相当しますね。330~450kcalのご飯になります。お店によっては少なめなど量を選択できる場合もありますので、注文してみるのもよいと思います。自分でご飯を盛り付けることができるシステムの場合は、前項でお話ししたように日頃食べているご飯の量が把握できていると調整しやすくなります。。お弁当を購入するときなどにも参考になりますので覚えておくと便利です。

ダイエットでも炭水化物を抜くのは危険!

ダイエットしよう!と思うと、ついつい炭水化物を抜いてしまいがちです。一見効率的に見えますが、実は炭水化物を抜くことは危険なのです。確かに炭水化物を抜いたダイエットは短期間で効果が得られやすいです。しかし前述したように、炭水化物はエネルギー源として重要な役割を担う栄養素ですので、全く摂取しないということは避けてください。では、どうしたら健康的なダイエットができるのでしょうか。次項から解説していきます。

最低でもご飯100gは食べよう!

ダイエットをする前に、自身の「適正体重」を知っておきましょう。適正体重の算出方法は「身長(m)×身長(m)×22」です。また、体重と身長の関係から肥満度を算出する体格指数である「BMI」というものもあります。これは「体重(kg)÷(身長m)²」で算出することができます。BMI値が18.5~25未満であれば普通体重となります。自身の適正体重とBMI値を知り、過度なダイエットは避けましょう。
健康的にダイエットをするには、1食当たり最低でもご飯を100gは食べるようにしましょう。これは某大手ダイエットサポート会社も推奨しています。炭水化物を抜いてしまうと炭水化物以外の栄養素をエネルギー源として使わなくてはならず、その結果筋肉量が減り健康障害が現れるリスクがあるだけでなく、リバウンドしやすい体質になってしまうのです。
最低限のエネルギー源となるように、ご飯は抜かずにバランスの良い食事を心がけましょう。味付けが濃いおかずを一緒に食べるとどうしてもご飯がほしくなってしまいますので、全体的に薄味にするのも有効です。

その分、野菜で満腹感を!

主食であるご飯量を減らすと満足できない、と思う方も多いのではないでしょうか。ご飯量を減らしても満腹感を得るためのポイントとして、「野菜をたくさん食べる」ということが挙げられます。ご飯と一緒に野菜をたくさん食べることで、健康的な食事にもなります。野菜をたくさん食べるだけでなく、調理法も工夫するとさらに効果的です。咀嚼回数が増えるように野菜を大きめにカットし、火を通しすぎないようにしてみてください。よく噛むことで脳の満腹中枢を刺激し、より満腹感を得ることができます。厚生労働省は1日350gの野菜を摂取するよう提唱しています。これは意識していてもなかなか達成するのが難しい量でもあります。生野菜ももちろんよいですが、蒸し野菜にするとかさが減ってたくさんの量を食べられますので、ぜひ試してみてください。

まとめ

適切な食事量・ご飯量は身長や年齢、性別、活動強度により異なります。健康的な食事をするにはまず、ご飯とおかずの割合が1:1になるように意識してみてください。ご飯の主な栄養素である炭水化物はエネルギー源として重要な役割を担いますので、自身の適切なご飯量と、目安となるようにおにぎりや茶碗1杯、丼やカレーなどの場合のご飯量やカロリーをチェックして、日々の食事計画に役立ててください。ダイエットをする前に、自身の適正体重やBMIを把握して、たとえダイエットをするときも割いて100gはご飯を食べるようにし、その分野菜をたくさん食べるようにして満腹感を得られるよう工夫してみてくださいね。
自身にとって適切なご飯量を知るところから、健康的な食事について考えてみてください。

プロフィール

松田 千波(Chinami Matsuda)管理栄養士ブロガー兼ライター
管理栄養士として委託会社での病院勤務、障がい者施設経験を持つ。心理学、がんの栄養学、栄養士の働き方についてSNSとブログで発信中。

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