老舗水産練り製品メーカー発・ハラル認証取得の静岡B級グルメ「しずおかおでん」
静岡の食を世界中の人に楽しんでもらえますように――温かなおもてなし精神と郷土愛から生まれた、ハラル認証取得の「しずおかおでん」。開発したのは、1921年創業の老舗水産練り製品メーカー「はの字食品」です。
焼津インターから車で6~7分、田んぼの中にある「はの字食品」では、練り物製造だけでなく事務所で製品の販売も行っています。
こちらで購入できるのが、ハラル認証機関であるNPO法人「富士山から世界」から認証を受けた「しずおかおでん」(税込1,100円)です。
イスラム教の教義に従って、
・静岡おでんに欠かせない牛すじはハラルビーフを使用
・だしはハラル認証を受けたみりん不使用のものを使用
・おでん用のだしや練り物は上白糖不使用
となっています。
また、認証取得にあたり豚肉を使用した既存製品の製造を中止し、現在では工場内で一切豚肉を扱っていません。製造レーンは専用のものではありませんが、前日に念入りに洗浄したレーンで朝一番に製造しています。
製品は災害時の非常食としても使えるようにレトルト食品になっており、常温で1年保存できます。袋のまま電子レンジ調理や湯煎調理ができる包装になっているため、手軽に熱々のおでんが味わえます。
紙製のランチボックスに入っていますが、これは購入後すぐ食べたい方向けに器代わりになる容器を付けたいと考えてのこと。様々なニーズに応えてお客様に寄り添いたいという温かい思いが、パッケージからも伝わってきます。
ランチボックスの中におでんとだし粉が入っています
静岡おでんならではの甘い牛すじだし・うまみたっぷりの具材
たっぷりのだしの中に大きな黒はんぺん、さつま揚げ(2枚)、大根、卵、こんにゃく、牛すじが入っています。牛すじのうまみが溶け出した黒色の甘いだしと、トッピング用のだし粉(さば節粉末+あおさ粉)は、どちらも静岡おでんの特徴です。
おでんはたっぷり1人前 お好みでだし粉をかけてどうぞ
黒はんぺん・さつま揚げは、塩気が控えめで魚の甘みやうまみを豊かに感じることができます。甘い牛すじだしに合うように、塩の量を最小限にしているとのこと。練り物にとって塩は食感に影響を与える重要なものですが、本製品はおいしい練り物に欠かせないしなやかな弾力と歯切れのよさをしっかりと楽しむことができます。練り物のプロとしての矜持を感じる、絶妙な塩加減です。
また、甘みが強い上白糖ではなく優しい甘さの甜菜糖を使用しているためか、魚の風味をはっきりと感じることができました。
横幅11cmの大きな黒はんぺん
絶品だったのは、だしをたっぷり吸ったジューシーな大根。厚さ2㎝ほどありますが、箸を入れるとすっと切れ、中心までしっかりとだしの色に染まっています。一口食べると、大根の甘みとみずみずしさが口いっぱいに広がりました。レトルト処理の前に大根を冷凍しているそうで、その一手間によってだしがよく染みこみ、理想的な大根に仕上がっています。
中までだしが染みこんだ大根
だしの甘じょっぱさにそれぞれの具材の甘み・うまみが調和し、日本人だけでなく外国の方にも好まれそうな味つけになっています。ハラル認証取得という点だけでなく、味の面でも国内外問わず多くの方におすすめしたい一品です。
ハラル認証取得への思いと道のり
「しずおかおでん」開発の中心となった服部芙志乃副社長は、セミナーで初めてハラルについて学んだ際、静岡が誇るB級グルメの静岡おでんや自分達が日々製造している練り製品を宗教上の理由で食べられない人がいることにショックを受け、悔しさを感じたそうです。その思いが原動力となり、人気商品だったベーコン巻きなどの豚肉製品の製造をやめ、先が見えないハラル認証おでん開発に着手する決断をしました。
自分自身や社員にとって馴染みのなかったイスラム文化について、全員で理解を深め一丸となって開発を進めることは容易ではありません。しかし、「世界中の方に静岡のおいしいものを知ってほしい!楽しんでほしい!」という思いを胸に原材料の調達や社員教育に奔走し、2年の歳月をかけて製品化を実現しました。
現在では、県外のサービスエリアでも販売し静岡の食の輪を広げるとともに、直売所での売り上げの一部で子ども食堂や地域のイベントに「しずおかおでん」を提供して、製品を通じた社会貢献活動も行っています。
「しずおかおでん」開発担当の服部芙志乃副社長
静岡の食を味わいたいムスリムの方、ムスリムの方への手土産をお探しの方、そして静岡の食文化を楽しんでみたい全ての方におすすめの、はの字食品特製「しずおかおでん」。ぜひ一度ご賞味ください。(価格等の情報は2023年12月現在のものです)