ランチが全てヴィーガンになった
まるで素材と対話して作られたような、畑の恵みの美味しさを活かすプレートランチ。それはその季節の、その時期の、大地やおひさまのエネルギーと情報がたっぷり。お食事は全てヴィーガンです。実はカフェを始めた時は動物食もあったのです。今は洋スイーツはまだ卵、乳製品(できるだけ動物に負担ないもの)を使う段階のものもあり、これからゼロにしていくのが課題だそう。和スイーツは全て白砂糖も使わないヴィーガンです。
オーナーが子どもの頃、近くに養鶏場がありました。そこで孵化に失敗して捨てられた山積みの卵から、小さな声で鳴いているヒヨコたちを見てしまい、命が粗末にされているショックにしばらく卵が食べられなくなったそうです。また別の場所で鶏舎にぎっしり詰め込まれて飼育される鶏を見た時も、もともとお肉を好みませんでしたが、しばらく鶏が全く食べられなかったそうです。ある程度の年齢と地域で、こうした体験を持っている人は多いそうですが、オーナーはこの暗い気持ちを引きずってきたと言われます。そして京都で開催されたヴィーガンイベントで、長生きする必要のない家畜たちの悲惨な飼育状況や非情な屠殺の現実を知り、もうこれは肉を食べるべきではない、そしてこれをビジネスにすべきではないと強く思いました。以来、肉食は無い生活、魚介は頂くペスカタリアン、カフェではヴィーガンのお客様に応えたく、ランチは徹底して動物性の食材を使用しない週替わりメニューになりました。宣伝をしていないブティックの奥にあるカフェですが、健康志向の方が少しずつ来られるように。毎週来られるヴィーガンの方や外国のご夫婦もいらっしゃいます。
肉類をやめた事で若い頃弱かった胃腸がいつも軽快で病気知らず 子どもの頃は病弱だったのに、開業してから35年間、体調不良で休んだのは1日だけだそう。実際に心身ともに元気いっぱいのオーナーの年齢を聞けば驚きます。お食事に行かれてこっそり聞いてみますか?
「健康、倫理、環境につながる」
お料理の出汁は昆布、野菜から取り、勿論化学調味料は使っていません。スリランカ風のジンジャーカレーは、その時の野菜スープに、フードロスを出さないように在庫の野菜と果実を使い切るようにします。小麦粉は一切使用しないで生姜がたっぷり、丸一日煮込み、食べると体がポカポカに。オーナーが納得するまで3年かけてできた自慢のメニューです。
農作物を選ぶ時に、農薬を使用しているのか、どんな土壌でどんな堆肥を使っているのか、有機JASマークがついていても詳しいことはわからず、現場は見えないもの。カフェで使うものは、オーナーがよく知る生産者さんからの、信頼できる農薬不使用の野菜です。市内の脱サラ農学博士が作るもの、スタッフの家族が作るもの、友人たちが作るもの。そして、皆さんに本物の野菜の美味しさを知って欲しい、使って欲しいと、カフェご利用の方には、卸値そのままの金額で販売されています。お料理にはたまに市販のものを買い足すことがありますが、近隣に農薬を使わない丁寧に作られたお野菜が十分あれば買い足しは必要ありません。近隣で作られる農作物の利用は、地産地消であり、余計な運送エネルギーも使わず、環境にも良いのです。お料理は個人的な嗜好も土台となりますが、食は、健康、倫理、環境につながっていること。大切なことを皆さんと分かち合えたら、もっと私たちは、地球は良くなっていく。そんな静かなポジティブなオーナーのエネルギーが流れているお店です。
ブティックに併設されたカフェ
英国テイストだけではないセンスのインテリア
ブティックの奥にカフェがある
大好きな英国に年に何度も渡英していたオーナー、英国の好きなところはたくさんありますが、その一つが、アンティークショップやマーケットの奥にカフェが併設されていること。そしてお洋服が好きで1987年にブティックをオープンし、英国風?に2002年にその奥でカフェを始めました。
ブティックは革製品も少し置いてありますが、動物にも環境にも良いものがあればゼロにシフトしたいとの事。スウェーデンのとうもろこしが原料のトートバッグや、スイスのトラックのホロを再利用したバックなど、自分でも使用している商品を扱いたいと直接メーカーにオファーしたり、取引先の輸入会社に扱えないかと提案しています。
これからは動物性ではないだけでなく、資源の再利用も考え、最終的に自然に返せるもの、Co2を排出しないものをぜひ手がけていきたいと熱く語っています。気になることを調べ、実際にできることは動き、仕事が人生の歩みの中にあることを感じさせてくれるお店です。ここにカフェがあるのかしら?三和ビルの2階に温かい空間が待っていますよ。